創作漢字コンテスト

第11回 創作漢字コンテスト

受賞作品一覧

白川創作漢字 最優秀賞

※全応募者対象

はなれてすわる(ソーシャルディスタンス)
横浜市
山口明伸さん(29)

今回は、このような立派な賞を頂き、ありがとうございます。今なお、私たちの生活の中には、コロナ禍がドンと居座っています。今回、コロナを題材に家族で車座になってこの字を考案しました。早く「人」が4個入れるような「座」の字の生活に戻ることを願っています。

富国生命優秀賞(A部門)

※社会人・大学生対象

  • タイ(コロコロ)
    ふとる(ころなぶとり)
    東京都町田市
    加藤知香さん(49)
  • ちち(がんこおやじ)
    茨城県水戸市
    野上晴夫さん(64)
  • キッキョウ
    よしあし(おみくじ)
    大津市
    田村雄二郎さん(69)
  • カイ
    うぇぶかいぎ(うぇぶかいぎズーム)
    大阪府摂津市
    植田鈴枝さん(76)
  • はなれてはなす(ソーシャルディスタンス)
    京都市
    芦田為美さん(84)

Z会優秀賞(B部門)

※高校生対象

  • カン
    ひもの
    埼玉県鶴ヶ島市
    埼玉県立大宮高等学校1年
    関戸結菜さん(15)
  • シツ
    しっしょう(失笑)
    英国ロンドン
    セント・ポールズ・ガールズ・スクール(St Paul's Girls' School)高校1年
    ウォング・グレース響子さん(16)
  • セイ
    うぶごえ
    北海道帯広市
    帯広大谷高等学校1年
    小林千紘さん(16)
  • ハイ
    たくはい
    東京都足立区
    東京都立足立新田高校1年
    松田真美さん(16)
  • エーン
    なきむし
    長崎市
    活水高等学校2年
    松尾瞳月さん(17)

Z会優秀賞(C部門)

※小・中学生対象

  • よつばのクローバー
    宮城県東松島市
    東松島市立矢本東小学校4年
    星野義仁さん(10)
  • さかいなし(バリアフリー)
    神戸市
    神戸市立住吉小学校6年
    三浦まもるさん(12)
  • セキ
    やけいしにみず
    広島県三原市
    如水館中学校1年
    戸塚愛結さん(12)
  • シュ
    ばんざい、おてあげ
    大阪府阪南市
    阪南市立飯の峯中学校3年
    中和哉さん(14)
  • カク
    ノートパソコン
    静岡県牧之原市
    牧之原市立相良中学校3年
    菊池檜さん(15)

富国生命・審査委員長 特別賞

※全応募者対象

  • みとれる
    青森県おいらせ町
    おいらせ町立木ノ下中学校1年
    住吉玲菜さん(12)
  • シン
    しんりんばっさい(環境破壊)
    広島県呉市
    ノートルダム清心高等学校1年
    神津至緒さん(15)
  • もってのほか
    茨城県高萩市
    赤塚直久さん(59)
【学校特別賞】普台小学校(台湾南投県)
  • シュ
    ひだりて
    普台小学校5年
    陳 靖 潔さん(10)
  • ショウネン
    わかいひと
    普台小学校5年
    余 榛さん(10)
  • ニヒャク
    にひゃく
    普台小学校5年
    詹 鈞 淞さん(11)
  • セイホウ
    せいほうけい
    普台小学校5年
    袁 千 秋さん(11)
  • やすむ
    普台小学校6年
    朱 仁 宇さん(11)

佳作

※全応募者対象

  • オン
    しゅわ
    福岡市
    福岡教育大学附属福岡小学校1年
    古巣雄大さん(7)
  • ソウ
    ざっそう
    大分市
    大分市立春日町小学校2年
    月村天洋さん(8)
  • ギャク
    ぎゃくぎれ
    島根県益田市
    益田市立豊川小学校6年
    堀江崇汰さん(12)
  • オウ
    しだれざくら
    堺市
    大阪府立農芸高等学校3年
    吉川寛人さん(18)
  • シャ
    はしごしゃ
    北海道恵庭市
    青野渉さん(24)
  • セイ
    めぼし
    静岡県藤枝市
    後藤慧梨香さん(29)
  • かそうつうか
    千葉県浦安市
    市川中学校1年
    宮澤理人さん(13)
    大阪市
    前田太久夫さん(56)
    ※本作は2名同作品での受賞となります
  • セイ
    いちばんぼし
    大阪府枚方市
    安達芳雄さん(77)

コンテストの総評

意外性に笑いと驚きの連続

今年はコロナ禍の一年であった。投稿漢字もコロナ関連が多かった。しかし多ければ多いほど目立つ工夫が必要。その中で「座」から「」へと「人」を少し動かしてのソーシャルディスタンスは鮮やかで最優秀賞。
今回は学校単位の応募が特徴。また激増したことは主催者側としては嬉(うれ)しい悲鳴。担当された先生方のまごころこもった添付書には感銘。選考に苦しんだが、結局、台湾の普台小学校児童の諸作品に学校特別賞。東北アジア漢字文化圏における漢字制作の国際性を示せたことは大きい。
これら児童生徒作品中、彼らの流行語に「ピエン」があることを始めて知った。「小悲しい」ときに使うらしい。残念ながらそれを表した優秀作品はなかった。ピエーン。
意味をいろいろと含むものがあった。A部門入賞の「」の上半分は「AI」とも読める。
B部門の「」はありそうでこれまでになかったことが分かり驚いた。
C部門の「」は、実に立体的で美しい。日常性の芸術化という感さえ与えてくれる。
特別賞の「」は、現代の最大問題の一つである環境破壊がことばがなくとも一目で分かる。
佳作の「」は、線の多い少ないや長い短いで意味を変えてしまう典型で、「星」の字をあつかうときに教材としての例に使えよう。
本審査会は、審査をすると同時に、こちら側も得るところが多く、また事の意外性に笑いと驚きの連続であった。来年の応募に期待するところ大である。ぜひご参加を。

審査委員長 加地 伸行
(立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所 元所長)

漢字は約3300年前、大陸に移り住んだ沿海族「殷(いん)」と呼ばれた人たちの祈りと暮らしから生まれたと白川博士は説きました。
ですから、漢字ひと文字の中に3300年前の暮らしの情景が潜ませてあるのですが、今年の最優秀作品には見事に本年の情景が込められています。
「座」るのひと文字はテントの下に、人と人とが向かい合い、土の上に座っているのです。それを人と人とをずらして、シールド越しに向かい合わせに離れて座る(ソーシャルディスタンス)とは見事な創作漢字。これは今年を象徴する傑作文字です。

創作漢字コンテスト広報アンバサダー 武田鉄矢さん
(名誉漢字教育士)