創作漢字コンテスト

第6回 創作漢字コンテスト

受賞作品一覧

最優秀賞

人生、山あり谷あり
大阪市
橘陽平さん(13)

何げなく、「人生」という字を書いてみようと思い、いろいろとアイデアを出した結果、しっくりきたのがこの字でした。今回が初めての応募で、最優秀賞を取れたので、とてもうれしかったです。

富国生命優秀賞(A部門)

  • ゲツ
    おぼろづき
    ゆら・・・。大気に月の吐息がただようような様。
    大阪府枚方市
    竹内吾翼志さん(23)
  • オチャヅケ
    おちゃづけ
    茶と米を合わせている。
    大阪府豊中市
    村瀬直子さん(30)
  • シャ
    じどり
    自分で自分を写すこと。
    兵庫県川西市
    赤木渉さん(46)
  • ゼン
    せみしぐれ
    蝉の声が、雨のように降りそそぐ。
    神戸市
    木村武雄さん(62)
  • ガン
    えがお
    笑う声が(顔中)聞こえる。
    大阪府豊中市
    藤田国子さん(54)

Z会優秀賞(B部門)

  • シン
    たちよみ
    立ち読み。
    東京都世田谷区
    松下友哉さん(11)
  • しりとり
    「ん」がつくと、負けだ。
    岡山市
    藤田歩さん(15)
  • ハンガー
    はんがー・かける
    「衣」の上の部分がハンガーの形。衣服がハンガーにかかっている感じ。
    広島市
    森陽香さん(15)
  • ばーこーど
    「価」の中にバーコードを書いた。
    京都市
    玉山直樹さん(15)
  • セイ
    ねがい・ながれぼし
    流れ星。
    広島市
    土肥真子さん(15)

特別賞(成語・慣用句部門)

  • 食べ歩き
    京都府長岡京市
    吉井陸さん(17)
  • 関のやま
    京都市
    飛岡諒さん(25)
  • 狐の嫁入り
    大阪市
    松浦康成さん(48)
  • 山分け
    岐阜県美濃加茂市
    佐藤昇さん(59)
  • 世の中甘くない
    奈良市
    宮狭淳泰さん(62)

佳作

  • カイ
    うみざかい
    海の境界。
    大阪府高槻市
    岡林一藏さん(89)
  • トウ
    がいとう
    高所にある街灯。
    高松市
    天雲陸斗さん(9)
  • フク
    めたぼ
    お腹が膨らみ、不健康な状態。
    静岡県藤枝市
    柴田敷行さん(76)
  • ブランコ
    ぶらんこ
    子供が乗る遊具。
    滋賀県守山市
    森﨑可林さん(12)
  • キョウ
    むねきゅん
    胸が〆(しめ)つけられている。胸キュン。
    島根県出雲市
    橋本健哉さん(23)
  • 才色兼備
    大阪府吹田市
    坂木美緒さん(15)
  • コウ・コウイ
    ころもがえ
    着がえること。
    京都府長岡京市
    松下穂乃花さん(12)
  • 夢のまた夢
    北海道帯広市
    高下望夢さん(12)
  • フン
    おやこげんか
    「母」の点を目とし、つり上げている。「子」は向きを変え、母に背を向けている。「母」と「子」の横棒をまげ、腰に手を当てて怒っている。
    広島市
    村上乃衣さん(14)
  • 屋上緑化
    宮城県石巻市
    遠藤慎也さん(14)

※佳作の対象は11作品でしたが、審査の結果、10作品となりました。ご了承ください。

コンテストの総評

すぐれた作品多く激戦だった

激戦であった。このコンテスト始まって以来、応募者は最多であった。わけても中・高の先生方の熱心なご指導により、高校以下の生徒の応募が激増し、最優秀作品に中学生の作品「(人生、山あり谷あり)」が選ばれた。それをよく見ると、「仙」でもあり「俗」でもあり、意味深長。入賞作品を二大別すると、正統派「(おちゃづけ)」「(せみしぐれ)」「(狐の嫁入り)」「(才色兼備)」があり、「(ころもがえ)」などは、江戸時代によく作られた国字にありそうだが、なかった。もう一方、コミカルな、柔軟派に「(おぼろづき)」「(じどり)」「(えがお)」「(食べ歩き)」があり、「(めたぼ)」「(おやこげんか)」は爆笑であった。一方、「ンがついたら負け」の「(しりとり)」や、「(ぶらんこ)」など、生徒らしい素直な表現も好感を与えた。また、最近の生徒は、ビジュアル的感覚が鋭く、「(はんがー・かける)」は着眼が良く、「(ねがい・ながれぼし)」は美しく、そして流星のスピード感があり、最優秀作品に近かった。
一方、「(うみざかい)」は、日本の現況を反映してもいる。国の周辺が海である日本にとって、このような漢字を公的に使ってもいいように思う。
時事性といえば、「(じどり)」がそれである。同じく「壁ドン」を表した作品が多かった。なかなかおもしろかったのだが、類似した形が四十近くあり、残念ながら断念して外した。なお、時事的作品は、数年もすると色あせてしまう欠点がある。
審査員から、このコンテストを通じて漢字を好きになってもらいたい、作品の発想が柔軟ですばらしい、レベルが高い、俳句を作る感じで楽しい、ポンと胸にとびこんでくる、いい意味でのパクリの良さあり等の声があった。
選外の作品にも「(くみきょく)」「(ほたる)」「(三羽がらす)」をはじめ、すぐれた作品が多かった。次回の応募を期待してやまない。

審査委員長 加地 伸行
(立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所 前所長)

昭和11年(1936)大阪生まれ。大阪大学名誉教授。立命館大学研究顧問。文学博士。 中国哲学専攻。著書『儒教とは何か』(中公新書)、『沈黙の宗教-儒教』(ちくま 学芸文庫)、『論語全訳注』(講談社学術文庫)など