第10回 創作漢字コンテスト

第2回 創作漢字コンテスト

受賞作品一覧

最優秀賞

ひさめ、しのつく
どしゃぶり、大雨
大阪府柏原市
真辺実咲さん(17)

漢字はあまり得意なわけでもなく、賞をもらえるとは思っていなかったので最優秀賞と聞いてびっくりしています。今回は、父に勧められ、父と相談しながらこの字を考えて応募しました。いろいろな字を書いてみて、点を加えたらもっとすごい雨になるだろうなと考えたものです。雨は好きではないので、あまりこういうことはあってほしくありません。この字を見た人には「めっちゃ雨が降っている」というイメージを描いてもらえればと思います。

A部門優秀賞

  • ジィジィ
    おおじ
    祖父、父の父は「おおちち」(おおじ)
    和歌山市
    西峰康治さん(65)
  • ミン
    ささえる
    ボランティア
    神戸市北区
    藤田岳司さん(58)
  • スカ
    まとはずれ
    「、」は地上に落ちた矢かも
    神戸市須磨区
    梅川謙次さん(56)
  • キョウジャク
    からいばり、ふらつく
    はったり、一見強気だが弱気も
    埼玉県新座市
    鷹野三津子さん(54)
  • テン
    つつましい、もったいない
    「電」の中にある「+・-」を消して節電、音の「デン」も「テン」
    大阪府池田市
    桐山武久さん(36)

B部門Z会特別賞

  • リツ
    ふんばる
    苦難のときこそふんばる
    大阪府池田市
    谷口真結香さん(13)
  • きらきら、ひしめく
    AKB48(エーケービーフォーティエイト)
    大阪府大阪狭山市
    大谷早希絵さん(13)
  • もんげん
    お父さんはこわいぞ
    大阪市阿倍野区
    木佐七海さん(13)
  • パチパチ
    そろばん
    原型は「玉」に「上下」だったが、「玉」偏は「王」と書くので王の偏とした
    千葉県習志野市
    豊東雅典さん(13)
  • ラン
    たまごやき
    火の上で卵を焼く
    仙台市青葉区
    佐藤広輝さん(6)

佳作

  • シュン
    はじまる、はじめ
    「終」の対として、また春ははじめであり、希望でもある
    東京都大田区
    井手晃一さん(80)
    大阪府寝屋川市
    中村信親さん(62)
    前橋市
    長瀬小杜子さん(11)
  • そういれば
    旧字体「齒」の「人」を「入」に
    大阪府箕面市
    小池清さん(65)
    群馬県伊勢崎市
    関根範行さん(62)
  • シュウマツ
    たのしい
    週末の金・土・日の3日間
    川崎市麻生区
    武田鐵治郎さん(71)
  • ツイッター
    つぶやく
    140字以内のことば
    神奈川県平塚市
    野村昌弘さん(71)
  • セイ
    いきぬく
    「生」を貫くこころ
    大阪市天王寺区
    松本和伸さん(64)
    群馬県高崎市
    小池眞由美さん(56)
  • パンダ
    ぱんだ
    動物のパンダ
    横浜市神奈川区
    中嶋資子さん(58)
  • ゴウ
    ささえる
    助け合い支え合う
    東京都足立区
    久保田春恵さん(54)
  • しにせ
    古くからある店、老舗
    富山市
    寺西章さん(51)
  • シン
    ほえる
    モンスターペアレンツ
    堺市東区
    北川均さん(51)
    大阪府河内長野市
    橋本弘嗣さん(23)
    大阪府吹田市
    西村真奈さん(13)
  • シンシン
    ならぶ
    シンクロナイズドスイミング
    長崎市
    吉岡まみさん(48)
  • ムサシ
    そびやか
    634メートルの東京スカイツリー
    東京都町田市
    妹尾修嗣さん(46)
  • コウ
    こもれび
    枝葉の間から洩れる日光
    東京都八王子市
    青山雪路さん(46)
  • タイ
    かがやく
    オーロラ
    大阪府箕面市
    武田恵美さん(14)
  • ジン
    たすけあう
    「ナ」は手、大震災を忘れない
    大阪府吹田市
    今川祐子さん(48)

佳作特別賞

  • なおる、しずごころ、おちつけ
    腹をすえる、東北の方ならできる
    青森県おいらせ町
    山内恭子さん(71)
  • なおる、しずごころ、おちつけ
    には「志」がこもっている
    東京都足立区
    星野公子さん(57)
  • ゲン
    ひたかくす
    原発被害
    東京都港区
    松井俊吉さん(51)
  • フク
    よみがえる
    震災から復旧への願いを込めて
    さいたま市北区
    原田朋子さん(36)

コンテストの総評

震災の世相 色濃く

今回の募集期間中に東日本大震災があったため、その関連作品が非常に多く、同形作品も多かった。例えば「(つなみ)」。また、救援やボランティア活動を表すため「人・助・協・互」そして「災・波」などを組み合わせた同形、あるいは類似のものが多かった。そこで、やむをえずこれらの作品は除くことにした。
しかし、広くは震災にかかわる入選作として「」を選び、また佳作特別賞(佳作と同等)の4点は東日本大震災をテーマとして選んだ。
なお、審査原則として、既存の字形と同一のものは今回も除外した。たとい訓や意味は別でも。
さて、漢字を創作するのに3種の別が見えるので、説明する。
第1種は、既存漢字の部分を新しく組み合わせたもの。例えば「(たまごやき)・(こもれび)・(そろばん)・(はじまる・はじめ)」など。
第2種は、同じく部分の組み合わせであるが、そこにユーモアがにじみでているもの。例えば「(パンダ)・(門限)・(週末)・(モンスターペアレンツ)・(シンクロナイズドスイミング)」など。
第3種は、部分に手を加えて、アッと驚かせたり、なるほどと思わせたりするような工夫があるもの。例えば「(節電)・(祖父)・(的はずれ)・(しにせ)・(行きぬく)」など。
このほか、時事性のある創作が見られた。例えば、震災関連や前出の「」や「(AKB48)・(東京スカイツリー)」など。
以上は入選作からの例であるが、残念ながら選外となったものにも優れたものが多くあったので、その一部を紹介しよう。「(せんぬき)・(ひらめく)・(円高)・(いまいち)・(おにぎり)・(山染まる)・(上げ底)・(首切り)・(魚のメバル)・(マグマ)・(付けまつげ)・(メリーゴーラウンド)」など。
その他、正体字(旧漢字)を踏んで、「(総入れ歯)」があった。「(つなみ)」はよくできた字であったが、正体字「」がすでにあったので選外となった。
以上のような審査を経て慎重に投票のうえ、入選作を決定した。
最優秀作品の「」は明快にその意味が分かり、さりげなく形を変えて「雨」字本来のバランスのとれた美しい形を残している。なお、応募作品では雨滴がやや多かったので修補した。訓の「ひさめ」は「氷雨」ではなくて、『日本書紀』に出てくる「大雨」の読みに依る。
次回のご応募を期待申し上げる。

審査委員長 加地 伸行
(立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所 前所長)

昭和11年(1936)大阪生まれ。大阪大学名誉教授。立命館大学研究顧問。文学博士。 中国哲学専攻。著書『儒教とは何か』(中公新書)、『沈黙の宗教-儒教』(ちくま 学芸文庫)、『論語全訳注』(講談社学術文庫)など